奨学金は悪なのか
皆さんは、奨学金を使っただろうか。
ここ数年、奨学金がディスられている。
まるで高利貸しみたいな扱いを受けているようにも見える。
実際のところはどうなのか考えてみたい。
※ここでいう奨学金は貸与型(要返済)のこと
自分が学生の頃の話
私自身は、大学卒業まであまりお金のかからないルートだったこと、父が大企業勤めであったことから、奨学金を借りずに済んだ。
友人の中には奨学金を活用している人もいたようだが、無利子であったり授業料の減免を受けたりしている、努力家で成績の良い人が多かったように思う。
そんな彼らは、現在日本を代表する大企業で働いている。
(もちろん、そうした企業に入ることが全てではない。)
目標に向けて努力できるけれど経済的な余裕がない。
そんな人にとって、少し大げさだが、奨学金は希望の光となる。
奨学金がなければ、大学に通えたとしても、バイトに明け暮れる日々を過ごし、勉学やその他様々なことに十分な時間を使うことができなかっただろう。
大学時代の過度なバイトというのは、貴重な時間を二束三文で換金しているようなものだと思っている。
当然ながら、バイトの中で得られる経験が将来に生きる場合も多々あり、そこはバランスの問題となる。
ちなみに私は必要な分だけ、その都度日雇いで稼いでいた。
思い返してみると、当時から拘束され続けるのが嫌だったようだ。
奨学金を悪く言う人の主張
さて、奨学金について言われていることを取り上げてみよう。
①借金じゃん!
→その通り。ちゃんと返してね☆
②利子高いよ!
→低利だよ。
③何百万も返せないよ!
→(^q^)?
終わってしまった。
さすがにアレなので、もう少し丁寧に見ていこう。
①借金じゃん!
よくわからないが、名前が「奨学金」だと借りている感が薄いので、「学生ローン」のように、いかにも借金であるとわかるようにしろ!という主張らしい。
一理ある…のか?
たしかに、外国ではscholarshipとstudent loanで呼び分けているらしいので、給付型と貸与型をひっくるめて奨学金というのはよくないのかもしれない。
②利子高いよ!
例えば日本政策金融公庫の教育ローンの金利を見てみると、令和5年5月1日現在で1.95%(固定)となっている。
金利・ご返済方法|日本政策金融公庫
一方、日本学生支援機構の奨学金は、令和5年6月現在で0.537%(固定)である。
平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率 – JASSO
公庫より1.4%も低いじゃないか……
日本政策金融公庫の利率も特段高いわけではないので、いかに奨学金が良心的かがわかる。
さらに、変動利率に至っては0.05%である。
これなら、必要無くてもあえて借りてインデックスファンドに…なんて。
話は少し変わるが、もし無利息の奨学金を借りられた場合、お金に余裕ができたとしても、できるだけゆっくりと返す方が得策である。
③何百万も返せないよ!
実際はここが最も根深い問題である。
借りたものは返しましょう。返せないなら借りてはいけません。
そう言ってしまえば終わりだが、もちろんそんな簡単ではない。
ここには多くの問題がある。
奨学金の問題とは
①大学を出ても収入が低い
場所を選ばなければ誰もが大学に入り学べるというのは、大変素晴らしいことである。
しかし、ただモラトリアムを過ごすために大学へ進む人も中にはいる。
大学を出ればなんとかなった時代もあったのかもしれないが、現在はそんなに甘くはない。
高校の時点で、奨学金を借りてまで大学に行く意味があるのかを見極めることができればよいのだが、なかなか難しいだろう。
また、熱心に物事に取り組んだとしても、それが必ずしも収入につながるわけでもない。
それに、将来性は学力だけでははかれないし、人間どこで化けるかもわからない。
とはいえ、親や先生としても、本人が進学を希望すれば協力したいと思うはずだ。
②お金について教えられる人がいない
皆さんは、奨学金について子供に説明できるだろうか?
奨学金を借りるのであれば、それがどういうものなのか、どんなリスクがあるのかを教える必要があるはずだ。
本来であれば、親や先生がその役割を担うべきだと思う。
ただ、これまでお金に関する教育を受けてこなかった人にそれを強いるのも酷な話である。
また、近年では先生に求められる事柄が多く深くなっていると聞くし、なんでもかんでも先生がってのは負担が大きいし非効率だ。
そこで、あくまでちょっとした案にすぎないが、銀行や証券会社といった金融機関に指導をお願いするのもアリだと思うし、うちの高校にもいらっしゃったベネッセのような教育関連企業が、入試に関することだけでなく、学費の工面についても併せて指導するなんてのもよいかもしれない。
まとめ
奨学金は貸与型でなく給付型にしろという意見もあり、改革が進められているようだが、私は現在の制度でも十分に素晴らしい仕組みだと思っている。
問題は奨学金の仕組みそのものではなく、それを理解し活用できない、金融リテラシーの低さにあるのではないだろうか。
なんにせよ、教育を受ける機会というのは、望むもの皆に与えられるべきだ。
しかし、なんの目的も持たずに大学に行き、ダラダラと4年間を過ごしたのでは、かえって不幸になりかねない。
奨学金について正しく理解することで、大学に進むことの意味について改めて考えることができ、有意義な学生生活につながるのではないだろうか。
ではノシ